21/6/20 那珂市中央公民館 
根本正 教育への情熱。 ?
根本正顕彰会令和3年度第1回公開講座。
仲田昭一先生。

■根本正1851〜1933の家族関係。
東木倉村庄屋根本家の次男。
父は徳孝。
徳孝の父は西宮村庄屋鈴木平馬。
徳孝の母は坂野上村庄屋豊田家のひと。
彰考館総裁豊田天功1805〜1864は
坂野上村庄屋豊田家のひと。
根本正と豊田天功は親戚。
■根本正の母は はや。
はやの父は東木倉村庄屋
根本半次衛門 (学者)。

■金と時間。
庄屋の家に生まれた根本正は
金と時間があった。
6・7歳頃・祖父根本半次衛門に
読み書きを習う。

■勉学への意欲。
福沢諭吉の学問のすすめ。
人の上に人をつくらず、
人の下に人をつくらずといえり。
人は平等と言うが現実は違う。
学べる人・学べない人がいる。
根本正は皆が学べるべきと考える。

■水戸へ出る。
根本正は高い学問を望んだ。
親戚に豊田天功がいた。
家僕でもよい。
豊田天功を頼り
東木倉から水戸へ出る。
士農の身分の差を実感する。
神はかたよらず、
神の下に人間は平等、
法の下に権利は平等。
しかし現実は違う。

■マッチ・時計との出会い。
パリ万博に行った人の持ち帰った
マッチと時計と出会う。
こんな便利なものは
余程悧巧な人が作ったに違いない。
どんな人が作ったのか?
英語を話す国の人だ!
自分も英語を学びたい。
水戸では学べない。
1871年。東京へ出る。

■行動が人的環境を生み出す。
積極性が出会いを創り出す。
目的に向かい生活する。
中村正直の西国立志篇と出会う。
イギリスには艱難辛苦で
勉強し偉くなった人がいる。
自立・自律心・
キリスト教の精神を学ぶ。

■1879年渡米。
中村正直の同人社に
5・6年いても英語を話せない。
アメリカに行くことを決意。
行くための金をためる。
行ってからは何とかなる。
アメリカで小学校からやり直そう。
小学校・中学校・高校・大学で学ぶ。
苦学中に金持ビリングスの支援を得た。
英語を学んで何を学ぶのか。

■ボストンへ行く。
独立戦争の記念塔バンカー
ヒルへ。
独立戦争時のアメリカ人の苦戦を偲びたい。
何か啓発されるに違いない。
壊れたイギリス大砲を見て
アメリカは独立したと感じた。
目標を持ち努力すれば、
必ず出来ると確信をえた。

■大統領ガーフィールド。
ガーフィールドは貧窮の家出身。
小学校は無月謝で
皆が受けられる自由教育。
無月謝の小学校がなければ
大統領ガーフィールドはなかった。

■根本正はアメリカの
小学校無月謝に感心する。
日本も小学校を無月謝にすべき。
学ぶ機会の平等の実現に奔走しよう。
そのために政治家をめざそう。
神は片寄らずの精神。
米国からの帰途、
ビリングスの助言と援助を得て、
欧州各国の現状を確認する。

■1890年。第1回総選挙に
愛国公党から立候補・落選。
愛国公党政務調査員として活動。
東京禁酒会・植民地探検調査。
帝国議会に
小学校授業料全廃に関する請願書を提出。
小学校の授業料を無料に
しない国は立派にならない。
アメリカが立派になったのは、
ガーフィールドや
リンカーンなどが出たから。
それは小学校の授業料が
無料でなければ実現しなかった。
金持ちの子供は学校に行け、
貧乏の子供は学校に行けない国は
亡びるとの信念をもつ。

■政治家根本正。
1898年。第5回総選挙
自由党から立候補・初当選。
国民教育授業料全廃建議・
解散で討議無し。
根本正の理念・
国民皆学・教育の機会均等の実現。
法律にせねばならない。
小学校授業料全廃に関する
建議案が通過。
小学校教育費国庫補助法案を出す。
小学校教員俸給は国が出すべき。
大学校・専門学校は幾千万人の内
500人とか、300人の人が行く。
日本全国の子供の行くところではない。
全国民子弟の学ぶ小学校の費用は
国が出すべき。
政治家の役割は理念理想の実現を図ること。
素晴らしい国家の建設・国民の育成。

■1899年。国民教育授業料全廃建議可決。
小学校の授業料は現在40銭。
学齢児童数は7,730,441 人。
その内不登校未就学児童 300万人。
100人中36人は未就学。
これでは国を富まし
君に忠なる国民とは出きない。
国民一人当たりの負担。
日本・
小学校費34銭・軍事費2円40銭。
米国・
小学校費5円22銭・軍事費2円40銭。
財源がないからではない。
国民全体の教育負担金は砂糖税等を活用。

■1899年。
小学校教育費国庫補助法案提出・
成立・施行。
1890年。未成年者喫煙禁止法案提出。
如何なる国民となるかが問題。
1901年。未成年者飲酒禁止法案提出。
1922年。未成年者飲酒禁止法成立。

■自分をみがく。
根本正の活動は、
道徳的基盤が確立されていた。
水戸学・儒学・キリスト教である。
道徳教育は知識の学問ではない。
どう生きるかのぎりぎりの問題を
自分のこととして、
自分を見つめ続けることである。
時には厳しい判断力・決断力を伴う。
これがなければ
自分を磨くことはできない。

■根本正の教育思想。
人は教育の力により人間になる。
小学校教育は教育の初歩。
小学校教育は人智開発の第一機関・
国民総てが一度は通行すべき公道。
この公道を通過しなければ
終生無知の不具者となる。
貧困のため教育の必要は知っても
衣食が常に足りないため、
最愛の子弟を
就学させられない者人がいる。
全国の児童にすべて初等教育を授け、
家に不学の児なく、
国に不学の民のないようにしたい。
小学校の授業料は全廃したい。
就学生より授業料をとるのは、
公道通過の旅人に関税を課すのと同じ。
人智の平均を図るため、
富者だけでなく貧者も通すことだ。