21/5/25 那珂市本米崎 上宮寺
上宮寺定例法座 真宗本願寺派。
川島弘之師 土浦市
[ ]はhp制作者メモ。

■ご讃題。
人身受け難し、
いますでに受く。
仏法聞き難し、
いますでに聞く。
この身今生において度せずんば、
さらにいずれの生においてか
この身を度せん。
大衆もろともに、
至心に三宝に帰依し奉るべし。
自ら仏に帰依したてまつる。
まさに願わくは衆生とともに、
大道を体解して、
無上意を発こさん。
自ら法に帰依したてまつる。
まさに願わくは衆生とともに、
深く経蔵に入りて、
智慧海のごとくならん。
自ら僧に帰依したてまつる。
まさに願わくは衆生とともに、
大衆を統理して一切無碍ならん。
無上甚深微妙の法は、
百千万劫にも遭遇うこと難し。
我いま見聞し受持することを得たり。
願わくは如来の真実義を
解したてまつらん。

■以前に泥棒にあった。
その以後に考えた。
■生死一如。
[生死一如は生のみが吾等にあらず。
死もまた吾等なり。
吾等は生と死を並有するものなり]
生と死は表裏一体で切り離せない。
紙の表「生」・裏「死」のようなもの。
人はなぜ死ぬのか。
それはこの世に生まれたから。
いつ死ぬかは縁による。
死がいつきてもよいように生きる。
生きている限りいつかは死ぬ。
いつ死ぬかはわからない。
生は死の上に立っている。
生の裏は死。

■泥棒に会って死ぬと思った。
短い時間にいろいろ考えた。
死ぬのは今かと思った。
自分の人生・中学生から書き続けた日記・
兄弟・息子・孫・車・本。
皆・サーと遠くに去っていく。

■本来無一物。
何もがなくなっていくと瞬間思った。
本来無我。
我がものと言えるものは何もない。
車はハンドル・エンジン・
タイヤなど
いろいろな部品が集まっている。
自分はいろいろなもので
支えられている。

■ある寺の掲示板のことば。
一切は縁において生まれ 
縁においてあり 
縁において去っていく
■「一切は縁において生まれ」
この世に命が生まれる
ためには多くの縁が必要。
私か生まれるにも
父母の両親が必要。
その両親にも2人の親、
そう考えると、
40代前は
約2兆人が関わっている。
[歎異抄に
「一切の有情はみなもって
世々生々の父母・兄弟なり」
とある]
先祖の一人でも欠ければ、
今の私は存在していない。

■「縁においてあり」
[存在は互いに
もちつもたれつの関係にある。
太陽で育った草を
草食動物が食べる。
草食動物を肉食動物が食べる。
肉食動物が死ぬと
バクテリアが大地に帰す。
単独に存在しない。
私は一人の力で存在しない。
私は生きるため
野菜・魚・肉を食べる。
多くの命を食べている。
私一人で生きているのではない]
多くの命をいただき生きている。

■「縁において去っていく」
人間は生きて死んでいく。
[親鸞聖人は教行信証に書いている。
「しかるに煩悩成就の凡夫、
生死罪濁の群萌、
往相回向の心行を獲れば、
即の時に大乗正定聚の数に入るなり。
正定聚に住するがゆえに、
かならず滅度に至る」
煩悩があり・罪業深い私。
阿弥陀如来の本願にすべてをまかす。
それが因となり浄土へ往生できる]

■芥川龍之介の小説蜘蛛の糸。
カンダタは地獄にいた。
カンダタの前に蜘蛛の糸が垂れてきた。
カンダタは蜘蛛の糸を登っていく。
ふと下を見る。
多くの罪人が後から登ってくる。
思わず下の罪人を足で蹴落とした。
途端に蜘蛛の糸は切れた。
カンダタは地獄に落ちた。
他人はどうなろうと、
我が身さえ助かれば。
カンダタの無慈悲な心が
助かる縁を切った。
私の心の奥にも
カンダと同じ心がある。

■生きるには何でもする。
泥棒と取っ組み合いになった。
必死たった。
何としても生きのびたいと思った。
■親鸞聖人は
「さるべき業縁のもよおせば
いかなるふるまいもすべし」
という。
何としても自分は生きのびる、
そのために自分は何でもやる。
どんなに非道なこともやる。
考えられない情況に追いこまれたり、
犯罪を引き起こす条件がそろうと、
私も何をしでかすかわからない。


■良寛さんの詩。
「盗人に とり残されし 窓の月」
良寛さんの住む庵に盗人が入った。
良寛さんは寝たふり。
庵の中に盗むものがない。。や
泥棒は良寛さんの掛けていた
薄い布を持ち去った。
窓から外を眺めると、
ただ盗り忘れられた月があった。

■泥棒とはなにか。
だれの生か。
与えられたいのち。
[生かされているいのち]
与えられたままに生きていく。
生死は表裏一体なのに
生のみを自分のものとして
死を排除する。
生のみを自分のものとしている。。
死にたくない・
死んでもよい・
おまかせ
どれもいのちを自分のものとしている。
生と死はひとつ。
与えられている。
生のみが自分のものと思っている。
生と死は表と裏。
南無阿弥陀仏
いのちはいのちのもの。

■掲示板のことば。
無難な人生なんて
つまらない
難を生かす
人生がおもしろい

無難の反対は有難
いまいただいている
難儀が深い世界
を開いてくれのです
やがて難儀を拝がむことが
できれば本当に
有り難たい人生に
なります
聞法が必要です。