19/12/15  那珂市瓜連 常福寺歴史講座
水戸義公の餘香を訪ねて。
住谷光一先生。
■はじめに。
1928年・義公生誕300年祭斎行。
1929年・義公史蹟行脚出版。
1970年・義公全集出版。
1978年・義公生誕350年祭斎行。
水戸義公伝記逸話集出版。
1998年・義公の詩に詠まれた鴨志田家の楓が枯れ始める。
2000年・義公薨去300年。
瑞龍・旌桜寺の旌桜が伐採の危機。
義公について調査・執筆を開始する。
2002年・高倉・井上邸の?の木が伐採される。

■英雄出現。
●水戸藩第2代藩主光圀公。
1628年・水戸に生れる。
1636年・家光より光の1字をもらい光國と名乗る。
1645年・史記・伯夷伝を読み感奮自覚。
1657年・駒込に史局を開き修史を始める。
1661年・水戸藩第2代藩主になる。

■藩主時代の就藩と御国廻り。
●1663/10/22〜30。8日間。
水戸−田中内−助川−荒川−大塚−新町−大子−町付−
佐貫−馬頭−水戸。
●1665/9/14〜19。6日間。
水戸−川尻方面。
寺社奉行を任命・3000余りの淫祠を潰す。
●1667/10/9〜20。12日間。
水戸−紅葉−板久−玉里−紅葉−水戸。
●1670/10/24〜11/1。9日間。
水戸−金砂山−大子−鳥子−石塚−水戸。
●1673/8/18〜9/7。21日間。
水戸−田中内−助川−川尻−磯原−川尻−小菅−高倉−
長福禅寺−町付−鳥子里−石塚−水戸。
●1677/6/2〜。
水戸−岩船方面。
●1683/6月中。
水戸−馬頭方面。
●1687/8/15〜28。14日間。
水戸−助川−川尻−磯原−君田−水戸。
●1689/8/18〜9/12。26日間。
水戸−助川−田中内−諏訪−川尻−磯原−助川−水戸。

■藩主時代の事業。
1665年・朱舜水を招き師とする。
1667年・瓜連・静神社を修復。
1672年・史局を小石川に移し彰考館とする。
1674年・鎌倉に行く途中玉造浜で孝子弥作を表彰。
1675年・後西上皇に詩・雪朝遠望を献上。
1680年・扶養拾葉集の勅題を賜る。
1682年・礼儀類典・編集の勅命を受ける。
1683年・備武兼文絶代名士也の勅書を戴く。
この頃名前を光圀と改める。
1687年・東山天皇大嘗祭復活。
1690年・藩主を綱條公に譲る。

■義公は各地の社寺・旧家を訪問。
古文書・仏像・什物を鑑定。
重要なものを保護・修復・移設し保存に努めた。

■西山荘での義公。
●引退後の重要な事業。
1691年・梅里先生碑を建てる。
那須国造碑を修理。
1692年・楠公墓碑を湊川に建てる。
潮来・長勝寺を復元。
1693年・救民妙薬集を作る。
1695年・礼儀類典が完成。
1697年・百王本紀が完成。
大日本史完成は1906年。

■西山からの巡遊。
1691年5月9日・西山荘入山。
●1691/11/19〜12/7。19日間
那珂湊−玉造−潮来。
●1692/6/16〜29。14日間。
西山−小瀬−鷲子−梅平−馬頭−大子−町付−西山。
●1693/11/1〜15。15日間。
久昌院33回忌法要。
●1694/2/28〜1995/1/28。
綱吉の命にて江戸出府。
藤井紋太夫事件。
●1695/8/12〜9/15。35日間。
西山−三美−檜澤−鷲子−矢叉−山田−馬頭−金沢−町付−
大子−徳田−磯原−川尻−西山。
●1696/2/9〜23。15日間。
那珂湊−海老沢−小川−井関−宍倉−玉造−潮来−
搭崎−那珂湊。
●1696/8/10〜9/1。23日間。
西山−天下野−高倉−下宮−町付−八溝山−町付-
大子−水戸−西山。
●1696/12/8〜17。10日間。
宍倉−玉造。
●1697/2/30〜閏2/6。
石塚−水戸−潮来。
●1697/8/8〜18。11日間。
西山−大門−山方−鷲子−大畠−西山。
●1697/11/19〜12/9。21日間。
那珂湊−海老沢−小川−玉造−那珂湊。
●1698/2/5。
潮来長勝寺。
●1698/4/10〜22。12日間。
西山−石塚−仏国寺−石塚−西山。
●1698/6/24〜7/25。32日間。
那珂湊−海老沢−小川−玉造。
●1698/8/3〜24。22日間。
西山−長倉−鷲子−大山田−黒澤−上高倉−和久−西山。
●1699/1/17〜2/15。30日間。
小幡−紅葉−小川−玉造−潮来−佐原−潮来−搭崎−
海老沢−那珂湊。
●1699/12/3〜9。7日間。
岩船−小川−那珂湊。
●1700/1/14〜2/8。26日間。
那珂湊−海老沢−搭崎−潮来−玉造−海老沢。

■御殿のこと。
●御殿が確認できる家。
磯原・野口家。
大方・堀江家。
天下野・會澤家。
額田・鈴木家。
玉造・大場家。
●御殿の跡が確認できる家。
田中内・大内家。
小島・鴨志田家。
和久・後藤家。
高倉・細谷家。
徳田・大森家。
山方・金子家。
助川・長山家。
川尻・金成家。
鷲子・岡山家。
潮来・石田家。
潮来・窪谷家。
●光圀公の御成御殿は8畳2間。

■義公の餘香が感じられる家々。
●玉造・大場家。
映画桜田門外の変の撮影に使われた。
義公の大場家へのお土産と思われる覚書。
白銀1枚・清右衛門。
絹1疋・同人女人。
さしくし1・同人娘。
垣鮎?15・同人子八十郎。

●高倉・細谷家。
竜神大橋の近くにある。
常山文集13巻にある詩。
十六夜いざよい月を看る 水字を得たり
今月既望遇遊此 
高倉山鐘丘壑美
昨夜清光留不留
秋容速過東流水

●この詩は細谷家で
義公が詠まれたと推定。
2005年9月18日に細谷家を訪問。
月の出をまった。
周囲を山々に囲まれた漆黒の闇。
次第に月の光が上がってくる。
突然、半鐘のような形をした山の上に、
おおきな満月が姿を現す。
満月は瞬く間に中空に上がっていった。
この詩は義公が細谷家からみた満月であることを確信した。

■梅平・大金家。
現在の栃木県那珂川町。
旧栃木県馬頭町・現那珂川町は水戸藩領だった。
●侍塚古墳の発掘。
義公は馬頭を訪れる。
佐々宗淳に命じ那須国造碑文を解読。
歴史上重要な遺跡であることが判明。
侍塚古墳の発掘調査が必要と判断。
発掘調査を行った。
●紀恩之碑。
明治以降、馬頭町は栃木県になる。
1891年・地元の人により水戸藩に感謝を記した紀恩之碑が建てられた。
碑は花立峠の山頂に水戸城を向いて建てられている。