19/12/12 常陸太田市東連地 青蓮寺 
七歩の会 第9回釈尊臨終 真宗本願寺派。
■旅。
釈尊とアーナンタは釈尊の生まれ故郷への旅をつづける。
パーヴァーの町につく。
鍛冶工の子どもチュンダと出遇う。
■4種の修行者の話。
チュンダは釈尊に問う。
世間にはどれだけの修行者がいますか?
釈尊曰く。
修行者には4種類ある。それ以外はない。
道による勝者・道を説く者・道によって生きる者・道を汚す者。
●道による勝者。
疑いを超え、苦悩を離れ、安らぎ(ニルヴァーナ)を楽しみ、
貪る執念をもたず、神々と世間とを導く人。
●道を説く者。
この世で最高のものを最高のものであると知り、
ここで法を説き判別する人、
疑いを絶ち欲念に動かされない聖者。
●道によって生きる者。
みごとに説かれた理法にかなった
ことばである道に生き、
みずから制し、落ち着いて気をつけていて、
とがのないことばを奉じている人。
●道を汚す者。
善く誓戒せいかいを守っているふりをして、
ずうずうしくて、家門を汚し、傲慢で、
いつわりをたくらみ、自制心なく、おしゃべりで、
しかも、まじめそうにふるまう者。
●4種のなかで、道を汚す者が極端に劣る。
しかし、これが現実に近い。
釈尊の言葉はきびしい。

■チュンダの捧げたキノコ料理。
釈尊はチュンダの捧げてくれたキノコ料理を食べた。
激しい痛みに襲われた。
釈尊は痛みを耐え忍んだ。
釈尊はアーナンダにいった。
クンシナーラーにいこう。
釈尊は禅定にはいり苦しみに耐える。
しきりに水を飲みたいとアーナンダにいった。
釈尊は苦しみながらもチュンダのことを心配し。
チュンダに良い功徳をしてもらったという。
与えるものには 功徳が増す
身心を制する者には 怨みのつもることがない。
●パーヴァーの町からクンシナーラーへの旅は
本当に苦しい旅だった。
クンシナーラーに入った。
釈尊はアーナンダにいった。
2本ならんだサーラの木の間に
頭を北に向けて床を用意してくれ。
疲れた。横になりたい。
泣いているアーナンダにさらにいう。
「やめよ。アーナンダよ。
悲しむなかれ、嘆くなかれ。
わたしはかつてこのように説いたではないか。
すべての愛するもの・好むものからも別れ、離れ、
異なるに至るということを。
およそ生じ、存在し、
つくられ破壊さるべきものであるのに、
それが破滅しないように、
ということがどうしてありえようか。
そのようなことは存在しない。
お前は、慈愛をもって
一生懸命にわたくしに仕えてくれた。
アーナンダよ、お前は善いことをしてくれた」

●釈尊の最後の言葉・・・といわれる。 
「さあ、修行僧たちよ、お前たちに告げよう。
もろもろの事象は過ぎ去るものだ。
怠ることなく修行を完成せよ」

■釈尊を悼む帝釈天のことば。
諸々のつくられたものは実に無常であり、
生じては滅びるきまりのものである。
生じては滅びる。
これら(つくられたもの)のやすらいが安楽である。

■いろは歌。
いろはにほへと ちりぬるを 色は匂えど 散りぬるを
わがよたれそ つねならむ 我が世誰ぞ 常ならむ
うゐのおくやま けふこえて 有為の奥山 今日越えて
あさきゆめみし ゑひもせす 浅き夢見じ 酔ひもせず

●いろは歌は「大般涅槃経」の中の諸行無常偈の意訳。
諸行無常偈
「諸行無常 是生滅法 生滅滅巳 寂滅為楽」  
諸行は無常であって、これは生滅の法である。
この生と滅とを超えたところに、真の大楽がある。

●いろは歌の作者は弘法大師ともいわれる。

■スリランカでは僧侶が諸行無常偈を唱え、
その後説教を述べ、寂滅して楽となる無常の理を教える。
日本のようにお経を長く唱えない。

■雪山童子せっせんどうし。
法隆寺玉虫厨子たまむしのずしに描かれる「施身聞偈図」。
雪山童子は本生譚と呼ばれる釈尊の前世。
釈尊の前世の物語のひとつ。
雪山童子はヒマラヤ(雪山)で菩薩の修行していた。
羅刹(鬼)が唱える
諸行無常・是生滅法ぜしょうめっぽう
のことばが聞こえてきた。
この句の後半があるはず。
その羅刹に後半の句を聞かせてくれるよう頼む。
羅刹は「自分は今とても腹が減っている。
おまえを食わせたら教えてやる」と言う。
雪山童子は承知し、後半の句、
生滅滅已しょうめつめっこ・寂滅為楽じゃくめついらく
を教わる。
その句の意味を味わい岩に書き込む。
そして羅刹の餌食となるため岩の上から飛び込んだ。
すると突然、羅刹は帝釈天の姿になり
空中で雪山童子を手で受けとめた。

■平家物語。
「諸行無常は平家物語冒頭に記される。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、
偏ひとへに風の前の塵におなじ」
沙羅双樹はクシナガラで
釈尊が涅槃に入るときにあった樹木。

■醍醐味の語源。
●涅槃経では、
牛より乳を出し、
乳より乳酥にゅうそを出し、
乳酥より酪酥らくそを出し、
酪酥より熟酥を出し、
熟酥より醍醐を出すとある。
醍醐がいちばん美味しく栄養がある。
●仏の教えも同じ。
仏より十二部経を出し、
十二部経より修多羅しゅたらを出し、
修多羅より方等経を出し、
方等経より般若波羅密を出し、
般若波羅密より大涅槃経を出す。
醍醐は涅槃経が他の経典よりすぐれていることをいう。
五味相生の譬たとえといわれる。