19/12/1 常陸大宮市 第11回文書館カレッジ
常陸大宮市文化センターロゼホール
鈴木英之先生。
了誉聖冏の学問と思想。
■了誉聖冏りょうよしょうげい。
1341〜1420年。
浄土宗鎮西流白旗派。
浄土宗第7祖。
三日月上人とも、
1341年・常陸の国・
[常陸大宮市上岩瀬・誕生寺]
白石志摩守宗義の子として
父の死後、幼くして瓜連常福寺の了実について出家する。
蓮勝・定慧のもとで浄土教を学ぶ。
浄土宗の地位向上のため活動。
多くの教学書を執筆する。
浄土教学の整備・体系化に努めた。
神道・和歌の著作を残した。
1420年・小石川で入寂。

■浄土宗を取り巻く状況。
●外部。
禅宗に強く非難される。
浄土宗は独立した宗派として認められていなかった。
●内部。
諸派林立・教義が統一されない。
●浄土宗系図。
1法然
−親鸞・一念義。
−隆寛・多念義。


−2弁長・聖光・鎮西義−3良忠・記主・然阿−4良暁・白旗派−
5太田蓮勝−6了実−7了誉聖冏


■聖冏と兼学。
浄土宗は教義が混乱していた。
聖冏は教義を整備した。
このとき、他宗の教義・世の中の思想・信仰を学び、
それらを浄土宗の教義に盛り込んだ。
●聖冏の学問。
浄土宗教学。
兼学・諸宗派の教理・禅・真言・天台・?舎・唯識・法相。
外典類の研究・神道・和歌・儒教。

臨済禅を但馬・月庵宗光と月察天命に学ぶ。
真言を常陸・宥尊に学ぶ。
天台を下野・東勝寺・真源に学ぶ。
倶舎・唯識を下野・東勝寺・明哲に学ぶ。
神道を治部大輔某に学ぶ。
和歌を頓阿に学ぶ。

■聖冏の浄土教学。
浄土宗を名実ともに一宗として独立させ、
その優位性を示そうとした。
浄土宗の伝灯の系譜を明らかにする。
浄土宗の諸宗に対する優位性をしめす。
浄土宗の伝法制度を確立する。

■聖冏の神道論。
省略

■まとめ。
●聖冏教学は、近世浄土宗の檀林教育の中心になった。
●しかし、江戸中期より聖冏教学は、
法然・善導の教えを軽視していると批判される。
●明治期。法然教学の回帰。
聖冏教学は宗学の中心から外される。
●聖冏の評価。
中興の祖というよりも、
宗祖の教学から逸脱したという評価が続いている。
●しかし、2019年10月には
聖冏上人600年遠忌法要の挙行など再評価されつつある。