19/11/24 水戸市三の丸市民センター 
茨城民俗学会 第158回 談話会。
題目 聖地をめぐる民俗。
発表者  石本敏也先生(聖徳大学文学部准教授,会員)
■はじめに
茨城県南部・千葉県北部から埼玉県東部にかけての、
利根川下流域一帯は、
四国八十八箇所をまねた小霊場が多い。
聖地をめぐる民俗について考える。
■めぐる人をまつ
葛飾坂東観音霊場。
茨城県古河市・五霞町・八千代町、
栃木県野木町の観音霊場。
1714年、33ヵ寺の霊場にて開創。現在は 41ヵ寺。
12年に一度、観音御開帳がある。
2014年が26回目の御開帳だった。
1ヶ月間観音像が公開された。
角塔婆が立ち主尊と参拝者を結ぶ縁の綱が張られる。
綱にさわると観音様のご利益があるとされる。
めぐる人を楽しませる接待が工夫されていた。
■めぐる側の記憶。
古河市悪戸新田獅子舞。
「ササラ」ともいう。
悪疫の平癒と退散を祈願して舞う。
毎年夏に市内を巡行する。
ゆかりの場所約30か町を巡る。
■めぐりきらない、めぐり。
桜島岡新四国霊場八十八ケ所。
八十八ケ所の意識はあるが
数にこだわらない巡り方。
あるおばあさんは、
時間内にまわれる場所を決めて歩いていた。
■さがし、めぐる。
新盆のシジュウハチトウ。
場所をさがしめぐる。
場所は普段は何気ない場所。
そこに穴が有ったりする。
その場所を巡る。
新盆に亡くなった人と向き合う。

■以下はhp制作者のメモ。
めぐる人をまつ・めぐる側の記憶・めぐりきらないめぐり・さがしめぐる。
聖なる地と接触の仕方には
いろいろな形があることがわかった。
聖地を巡ることは、信者には特別なこと。
聖地をめぐる多くの人は何かをもとめて
宗教的なことをおこなっている。
宗教的なことを生活のよりどころにしている。
最近アニメ、ゲームなどの
舞台となった土地も聖地とよぶ。
若い女性がパワースポットに関心を持つ。
その場所、神社などに行く。
なぜだろうか。
目にはみえないけれど何か得られるものがある?
絵馬の書き方が新しい。
新感覚で実行していく。
新しい文化。宗教への接し方が変化する。
若い人も何か大きな頼れるものをもとめている?
若い人の行動は新しい宗教かも?
寺にひとがこない。
坊さんのいない葬式。
などのはなしをきくことがある。
末法の世だから仕方ない?
若い人がこないのは
寺に若い人にとっての魅力がない?
でも、お寺巡りをしている若い人もいるときく。
仏様を「かわいい」という感覚。
不易流行。
変わらないものがあるのはあたりまえ。
でもかわってよいものもある。
そこの加減がむずかしい。
巡礼にかかわっているひとも。
若い人も。
ひとは、何か目にみえないものに
たよることが必要だ。
それが、神でありほとけなのだろう。
多くの若い人も歳を重ねた人も
神やほとけに頼ろうとしている。
ひとは弱い。
宗教なしでは生きていけない。
真宗でいえば
阿弥陀如来の
不可思議な力に救っていただく。
南無阿弥陀仏・南無阿弥陀仏。