18/12/16　那珂市瓜連町　水戸・歴史に学ぶ会　
明治維新150年記念講演会　明治維新と幕臣たち。
仲田昭一先生。　
場所。常福寺第二保育園講堂。　
［　］はhp制作者メモ。
■幕府の学校の変遷略記。
1691年。湯島聖堂学問所。
・・・
1869年．正月。幕臣は昌平黌に学んでいた。

■幕府　安政の改革。オランダの助力申し出。
1853年．大船建造解除。
1855年．長崎海軍伝習所設置。
中島三郎助等60名に伝習生辞令。
総督。永井尚志。
政治畑の.勝麟太郎・技術畑の中島三郎助。意気不統合。
笠間藩士小野友五郎も伝習生となる。
1856年．江戸築地に講武所設置。
築地講武所に軍艦操練所設立。

●中島三郎助。
1858年．築地軍艦操練所教授方。
臨海丸修理が必要。中島中心の浦賀奉行所請負。
ドライドックを浦賀へ築造。
1861年．浦賀奉行所に戻る。

●文久改革　朝廷・薩摩藩主導。
京都守護職新設・松平容保かたもり。
蕃所調所ばんしょしらべしょを洋学所へ拡大。
1862年．海外留学生オランダに派遣。
榎本武揚・沢太郎左衛門・赤松則良・内田正雄・田口俊平・
津田真道・西周・伊東玄伯・林研海など。
榎本武揚はプロシア・オーストリア戦争に国際観戦武官として従軍。
通信連絡に驚嘆。モールス通信機を購入。
開陽丸を購入。
1867年．帰国。

●慶応の改革・徳川慶喜の改革推進。
*五極体制＝内閣制度の奔り。
陸軍総裁・海軍総裁・会計総裁・国内事務総裁・外国事務総裁。
「五局体制」を確立。
老中首座(首相)。事実上の内閣制度の導入。
*軍制改革。
フランスより軍事顧問団招聘。
蒸気船軍艦完成。基本設計、小野友五郎。
1867年．小野友五郎・福沢諭吉、軍艦購入に渡米。

■小御所会議こごしょかいぎ。
●倒幕×佐幕。
慶応3年12月京都・小御所にて行われた。
[王政復古の大号令で設置された
総裁・議定・参与が行った最初の会議。
大政奉還した徳川慶喜の官職辞職・徳川家領削封が決定。
倒幕派の計画通りに決議された]
武力倒幕決定。
江戸の幕臣を徴発。
薩摩藩の強盗・放火。
薩摩藩江戸藩邸焼き討ち。
慶喜、京都の混戦を避けるため。
二条城から大坂へ撤退。
幕府陸軍部隊・会津藩兵・桑名藩兵したがう。
開陽丸は兵庫に。

■戊辰戦争。1868
●幕府の軍事力。
*海軍。
洋式装備。
軍艦。開陽丸。
*陸軍。
フランス軍事顧問団による近代洋式軍隊。

●慶喜の逃亡。
朝敵の汚名。
開陽丸[で大坂から江戸へ]。会津藩主松平容保同道。
フランスの軍事支援を断る。
英仏代理戦争の危機を回避。
江戸守護体制。
神奈川・箱根・碓氷など要地防衛指示。
その後上野寛永寺で謹慎。
西郷隆盛・山岡鉄舟の駿府会談。
西郷隆盛・勝海舟の会談。
江戸開城。
軍艦。富士山・翔鶴・朝陽は新政府に引渡し。
軍艦。開陽・回天・幡龍・千代田形は引き渡さない。
輸送船。咸臨・長鯨・神速・美賀保は渡さない。
討幕軍江戸入城。
慶喜水戸で謹慎。
徳川宗家は田安亀之助が後嗣こうし。静岡70万石。
江戸彰義隊敗退。小野友五郎自宅謹慎。
駿府・静岡藩。
開成所の人材が静岡藩へ。
津田真道・西周・加藤弘之・・・・。
榎本武揚の�ｺ川家臣団による蝦夷ガ島開拓許可願い。
新政府拒否。
榎本等軍艦8隻を率い品川沖脱走。
*中島三郎助。
「将軍辞職の挙に乗じ、
王側の奸悪恐れ多くも冤罪を負わしむ、
此処に於いて北軍同盟の諸侯・会公を助けて義兵を起こし、
実に天下擾乱じょうらん、
戦国の世となる、
因って(中島)三郎助・恒太郎・英次郎3人、
主家報恩の為に出陣する也」
幕末に中島三郎助のとった道。
代々禄を受けてきた幕府に忠義をたてた。
函館での戦いに身を投じた。
ふたりの息子とともに戦死した。
[壬生義士伝のシーン。
吉村貫一郎の長男　嘉一郎が単身函館戦争に向かう姿と重なる]

*新政府。
江戸の治安維持。
南・北江戸町奉行所接収し命令。
人員の継続登用。
神奈川・兵庫・長崎・大坂・京都など遠国奉行所接収。
人員の継続登用。

●幕臣。およそ33,400戸。
静岡行き。15,000人。
朝臣。5,000人。
帰農。600人。など。
*榎本武揚の信念。
「蝦夷地開拓と対露防衛に当たるため」
「旧幕臣の移住先を求めるために」新政府軍に嘆願書。
旧幕臣の蝦夷移住策は「皇国一和」になるとの信念。
榎本武揚は、幕臣、堀利煕としひろの小姓として。
1854年に樺太・蝦夷地探検の体験があった。

●函館戦争。
慶応4年8月。品川沖を出発→平潟→仙台→函館へと進軍。

*榎本武揚軍の降伏。
11月開陽丸江差攻略戦最中に座礁。沈没。
12月。榎本の嘆願書。
「蝦夷地を徳川家のために永久に下賜を」
榎本武揚軍、五稜郭に入る。政権樹立。
1869年4月。新政府軍江差北方へ上陸。
5月。黒田清隆、榎本武揚に降伏勧告。
榎本拒否する。が、
「万国海律全書」を贈る。
「身は滅びてもこれだけは国のため大切なものである」と。
新政府軍五稜郭に向け進軍。
一本木関門辺にて土方歳三が戦死。新撰組は、幕臣・諸藩士を含め150人。
隊長後任に笠間藩出身の相馬主計が新撰組隊長に就任。

*五稜郭の攻防。
5月。新政府軍の千代ガ岱陣屋への総攻撃。
中島三郎助・恒太郎・英次郎戦死。
榎本武揚降伏。
水戸藩兵は降伏者1.000名の護送・五稜郭の受け取りと警護を担当。
6月。水戸藩兵、水戸へ帰着。
出兵した水戸藩士ら200名。内戦死者9名。負傷者19名。
榎本武揚らは捕縛され東京辰ノ口の糾問ところへ。
明治5年放免。
明治政権下で活躍する。

■静岡徳川家
●沼津兵学校。
幕府陸軍が沼津へ。
*出身者。氏名・地位・役職。
島田三郎・田口卯吉(明治女学校)。
石橋絢彦(工手学校・工学院大学)
前島密(静岡に小学校創設・郵政事業)など。
●静岡学問所。
教授内容。漢学・国学・英語・仏語・蘭語・独語。
学問所の性格は「開成所・横浜語学校・昌平黌」の合体のようなもの。
*出身者。
津田真道(蘭国留学)。
河田熙。
向山黄村。
中村正道(英国留学)
福沢諭吉。
西周。など。
●静岡バンド。メゾジスト教会の布教集団。

■根本正と幕臣たち
●榎本武揚。
オランダ留学。
気象観測に関心。
暴風雨で開陽丸座礁。
海運発達と気象学の必要。
1872年．函館に気象観測所設置。
1879年．東京地学協会設立。
1892年．大日本気象学学会会頭。
1893年．殖民協会設立。
会長・榎本武揚。評議員・根本正他12名。
メキシコ殖民について、
根本正(農商務省官吏)が農商務大臣に
北米・メキシコ・中南米視察報告。

●安藤太郎。
1871年．岩倉遣欧使節団に参加。
安藤の派遣に根本正は
「先見以て早く英語を学びたる良果なり」と評価。
1886年．ハワイ総領事。
1888年．「在ハワイ禁酒会」設立。
在アメリカ根本正が米国新聞報道で
「在ハワイ禁酒会」の設立を知る。
その偉大さに感激し会長安藤太郎に書翰を送る。
両者の出会いの始め。
1889年．日本へ帰国。
1890年．根本正欧州視察して日本へ帰国。
東京禁酒会発足。会長安藤太郎、副会長根本正。
1897年．役人引退。51歳。
禁酒運動とキリスト教布教活動に尽力。
1898年．
日本禁酒会発足。会長安藤太郎、副会長根本正。
1915年．夫人文子死去。
1917年．安藤協会(メソジスト銀座教会講議所)設立。
発会式で根本正が祝辞。
教会堂完成。
メソジスト銀座教会から安藤太郎・根本正夫妻ら19名移る。

*美山貫一。
1875年．渡米。
キリスト教に入信、洗礼を受ける。
根本正ら在米日本人の世話をする。
1884年帰国。
1885年．再び渡米。米国で安藤太郎を信仰に導く。
1888年 ハワイのホノルルにハリス合同メソジスト教会を創立。
1890年．帰国。
1890年．名古屋メソジスト教会の牧師になる。
1893年． 銀座美以教会の牧師になる。
1903年．鎌倉メソジスト教会の牧師になる。

●荒井郁之助。
1857年．長崎海軍伝習所に学ぶ。
函館戦争。函館政権の海軍奉行。
降伏。出獄後は開拓使へ。
測量技術者として活躍。
1875年．東京気象台設立。
1876年．日本で初めて太陽コロナの写真撮影に成功。
1890年．中央気象台(東京気象台)台長。
1910年．鹿島灘・九十九里浜沖の暴風雪大海難事故。
高層気象観測の必要性を痛感。
第26帝国議会で根本正が「高層気象観測所設置建議案」提出。
1920年．高層気象台発足。

●中村正直。
1866年．英国留学生監督として渡英。
1868年．帰国後。静岡学問所教授。私塾同人社。
1873年．同人社解説・
根本正も入塾。
国際的に諸国家・民族は互いの差を尊重・学問文化の交流。
福祉の向上に尽力。
日本の平和的先進国化を。根本正への影響。

●江原素六。
静岡学問所の運営に当たる。
1871年．サンフランシスコ・ニューヨークへ8か月間。
同年帰国。
1874年．洗礼。静岡バンド設立。
1906年．大日本平和協会設立。
会長大隈重信。副会長江原素六。理事新渡戸稲造。
会員根本正ら500人。
大日本平和協会の目的。
「人種間及国家間の関係をして親密ならしめ、
国際紛議が成るべく平和的手段を以て
解決せらるるように尽力し、
以て世界の平和を保全し人類の幸福を増進するにあり」

*根本正の「支那満鮮」論。

●渋沢栄一。
徳川昭武のパリ万博特使洋行に水戸藩士服部潤次郎等と随行。
根本正、パリ万博土産の時計とマッチに驚嘆。
英語圏渡航を決意する。
[渋沢栄一と根本正の直接の接触はない。
しかし、欧米の文化に驚嘆し、
欧米の文化を吸収しようという決意は共通したものがある]

■まとめ。
旧幕臣は、漢学・儒学に加え、
洋学研究・海外留学・使節派遣により欧米文化に触れた。
徳川家が静岡に移住。
旧幕臣は、静岡学問所・沼津兵学校・静岡バンドでさらに欧米文化を学んだ。
明治新政府は薩長土肥の藩閥政権といわれる。
一方、旧幕臣を積極的に採用している。
明治維新の功臣たちが離反・対立した。
そのような時、黒田清隆等は、旧幕臣を活用した。
明治の日本は、朝幕統合の結晶だった。