01/3/24他 水戸市常磐町 好文亭 
偕楽園中ほどにある。


奥御殿への入り口  
左が奥御殿,
右か好文亭 
順路は左側奥御殿からになる。

1階からの眺め
 
外から見る好文亭 

好文亭と奥御殿  
 
■名前の由来  
「好文亭」は,
中国の故事 
「文を好めば則ち梅開き,学を廃すれば則ち梅開かず」により,
梅の異名を「好文木」(こうぶんぼく)といったことから,
命名された。  
■歴史  
水戸藩の第9代藩主・徳川斉昭公により,
偕楽園内に詩歌の会や茶会などを催すために建てられた。
1945年の水戸空襲により焼失,
1955年から3年かけて復元された。

■造り
  
2層3階の好文亭と
北につながる奥御殿からなる。
一般に全体を総称して好文亭と呼ぶ。
派手さのない質素な,
質実さと優雅さが調和した建築。
■奥御殿  
茅葺きの平屋の建物,
好文亭の奥にある御殿  
襖に描かれた四季の絵が迎えてくれる。
菊の間,桃の間,つつじの間,桜の間,
萩の間,紅葉の間,松の間,竹の間,
梅の間,清の間の10室からなる。
菊の間

桃の間

つつじの間

桜の間 
藩主夫人お付の御殿女中が控えていた部屋

萩の間 
藩主夫人のお付の御殿女中が控えていた部屋

紅葉の間  
藩主夫人のお付の御殿女中の
おもだった者が控えていた部屋

松の間 
藩主夫人が休憩した部屋,
他の部屋とは造り方が違う。

竹の間

梅の間 
1869年から1873年まで藩主夫人の居室となる。
1902年大正天皇が皇太子のとき宿泊。

清の間

太鼓廊下 
太鼓型の橋廊下は奥御殿と好文亭を結んでいる。
廊下左側に斉昭公が創案した
篠で作った格子窓がある。
窓は,
外からは窓であることが判らないように作られている。

好文亭1階 
東塗り縁広間(18畳板の間)   
斉昭公が80歳以上の家臣,
90歳以上の庶民の老人を時々招待して楽しんだ。

藩主の間(6畳)   
斉昭公が文人,墨客,庶民などに接した部屋。
部屋は透かして見えるように工夫され,
特に床の間は設けずに質素に竹の柱だけ。
隣接している東広縁で敬老会が開かれる際は、
障子を開け,
集会の人々と直接話した

西塗縁広間   
御座の間の西側に隣接し,
36畳ほどの広さがある。
3間と6間の大塗縁の北側と
西側各2枚の杉戸には,
漢詩を作るのに必要な 8,000字が書いてある。
漢詩などを作るときの辞書代わりになり,
詩歌の会の便がはかられている。
音曲の催しなどが開かれた。
現在の文字は復元したもの。
天井は杉皮網代張り,
しきり戸は,竹篭目紗張り。

対古軒(たいこけん)(4.5畳)   
好文亭に招かれた人が休んだり,
茶席に出る前に,
静座して心気を整えるなどに使われた部屋。
掲げてある丸い刻板は,
斉昭公の歌を彫ったもの。
対古軒と名づけたのは  
世をすてて 
山に入る 
人山にても 
なおうきときは
いづち行くらん
 
という古歌に斉昭公が  
世をすてて
山に入る
人山にても 
なおうきときは
ここに来てまし
 
と詠んだことにもとづく。

茶室・何陋庵(かろうあん)(4.5畳)

簡素清朴な草庵風の茶室。
床柱には鹿児島県屋久島の
ツツジの古木が用いられている。  
2階 武者控室  
納戸風の武者控室がある。

1階から2階  
2階から3階への階段はとても急   
好文亭3階 
楽寿楼(らくじゅろう)  
部屋は3室あり,
南に面した8畳が正室で斉昭公が出庵された。
配膳室に階下の料理室で作ったお膳や酒肴を運搬するリフトがある。
東南西方の勾欄に寄って4辺を眺めると
遠近山河の景色が集まる。
梅林はもちろん,
偕楽園自体が高台の上にあり,
3方向に視界が広がる。
千波湖を中心に偕楽園を見渡すことができる。
 



 
楽寿楼とは,論語の雍也編から名づけたといわれる。
「子ののたまわく,知者は水を楽しみ,仁者は山を楽しむ。
知者は動き,仁者は静かなり。
知者は楽しみ,仁者は,寿(いのちなが)し。」
知者は水はどんどん動いて進んでいく水を楽しむ。
ちっともとどまらず,
絶えずその変化があることが好まれる。
仁者は,山を楽しむ。
なぜ山を楽しむのかはよくわからないが,
山は厳然として存在している。
安定しているところがよいのか。
知者は,動く。
行動していく。
仁者は,どんと腰を据えていて静か。
知者は,学を楽しんでいる。 
仁者は生命が長い。
人生の理想,目的の一つは、不老長寿。 
昔の中国人は,人生を長生きし自然死にいたるまで長命することが理想。
短命は,どこかおかしいところがある。
不慮の災いで死んだらしょうがないが,
人生は、長生きすることが大事。
余り道徳ではいわないが,
道徳の基本は無理な生活をせず
生きられるだけ生きること。
(論語 貝塚茂樹著参照)
待合  
茶室への招待客が席の準備まで控えた所,
腰掛け式になっている。
腰掛け待合は全国的に珍しいらしい

室内は,
茶説,茶対,巧詐不如拙誠 の3つの刻版が掲げてある。
いづれも斉昭公の茶技に対する教訓のことば。
斉昭公自筆。  
茶説


茶対

巧詐不如拙誠 
「巧詐不如拙誠」とは,たくみにいつわるよりは,
拙くとも誠であることがよいという茶道における戒め。