95/7/10 真草千字文
二玄社 中国法書選27  智永 真草千字文。
全紙に臨書。 

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障子に全紙に臨書した千字文4枚を貼り付けた。 
和紙
が強いためか破れない。

千字文は半紙・巻紙などに何度か臨書。
つねに新しい発見がある。 

以下、角井博氏解説抜粋。
●千字文は4字1句 250句。四言古詩。梁の周興嗣(470-521)の作。
梁の武帝が王子の書の手本用に殷鉄石に作らせた。
王羲之の書の中から1000字を集めた。
周興嗣が韻文にまとめた。重複する文字がない。
早くから漢字学習や習字の手本となる。
●智永〈生卒不詳〉は浙江会稽の人。東晋王羲之の7世の孫。
永欣寺の閣上に30年間こもる。
真草千字文800本を臨書した。

千字文全文
千字文  せんじもん 
天地玄黄 てんちは げんこう 
宇宙洪荒 うちゅうは こうこうなり 
日月盈昃 じつげつは えいしょくし 
辰宿列張 しんしょくは れっちょうす 
寒来暑往 さむさ きたり あつさ ゆき 
秋収冬蔵 あきおさめて ふゆぞうす 
閏余成歳 じゅんよもて としをなし 
律呂調陽 りつりょは ようをととのう 
雲謄致雨 くもはのぼりて あめをいたし 
露結為霜 つゆむすびて しもとなる 
金生麗水 きんは れいすいに しょうじ 
玉出崑崗 ぎょくは こんこうに いず 
剣号巨闕 けんは きょけつと ごうし 
珠称夜光 たまは やこうと しょうす 
菓珍李奈 かは りだいをちんとし 
菜重芥薑 さいは かいきょうをおもんず 
海鹹河淡 うみはしおからく かわはあわし 
鱗潜羽翔 りんはひそみ うはかける 
竜師火帝 りゅうし かてい 
鳥官人皇 ちょうかん じんこう 
始制文字 はじめて もじをつくり 
乃服衣装 すなわち いしょくをふくす 
推位譲国 くらいをおし くにをゆずるは 
有虞陶唐 ゆうぐ とうとうなり 
弔民伐罪 たみをとむらい つみをうつは 
周発殷湯 しゅうはつと いんとうなり 
坐朝問道 ちょうにざして みちをとい 
垂拱平章 すいきょうして へいしょうする 
愛育黎首 れいしゅを あいいくして 
臣伏戎羌 じゅうきょうを しんぷくせしむ 
遐邇壱体 かじ たいをいつにし 
率賓帰王 そっぴんして おうにきす 
鳴鳳在樹 めいほうは じゅにあり 
白駒食場 はつく じょうに はむ 
化被草木 かは そうもくを おおい 
頼及万方 るいは ばんぽうに およぶ 
蓋此身髪 けだし このしんぱつは 
四大五常 しだい ごじょうなり 
恭惟鞠養 うやうやしく きくようをおもいば 
豈敢毀傷 あにあえて きしょうせんや 
女慕貞潔 じょは ていけつを したい 
男效才良 だんは さいりょうをならえ 
知過必改 あやまちをしりては かならずあらため 
得能莫忘 よくすることをえて わすれることなかれ 
罔談彼短 かのたんをだんずることなかれ 
靡恃己長 おのがちょうをたのむことなかれ 
信使可覆 しんは ふくすべからしめよ 
器欲難量 きは はかり がたからんことをほっす 
墨悲糸染 ぼくは いとの そまるをかなしみ 
詩読羔羊 しには こうようをさんせり 
景行維賢 けいこうあるは これ けんなり 
剋念作聖 よくおもえば せいとなる 
徳建名立 とくたつときは なたつ 
形端表正 かたち ただしければ おもてただし 
空谷伝声 くうこくに こえをつたへ 
虚堂習聴 きょどうに しゅうちょうす 
禍因悪積 わざわいは あくの つもれるにより 
福縁善慶 ふくは ぜんけいによる 
尺璧非宝 せきへきは たからにあらず 
寸陰是競 すんいんをこれ きそうべし 
資父事君 ちちにとりて きみにつかうるに 
曰厳与敬 いわく げんと けい 
孝当竭力 こうには まさに ちからをつくすべく 
忠則尽命 ちゅうには すなわち めいをつくせ 
臨深履薄 ふかきにのぞむごとく うすきをふむごとく 
夙興温清 つとに おき おんせいにせよ 
似蘭斯馨 らんの それ かんばしきにに 
如松之盛 まつの さかんになるが ごとし 
川流不息 かわはながれて やまず 
淵澄取映 ふちはすみて えいをとる 
容止若思 ようしは おもうがごとく 
言辞安定 げんじは あんじょうにせよ 
篤初誠美 はじめをあつくするは まことに うるわし 
慎終宜令 おわりをつつしむは よろしかるべし 
栄業所基 えいぎょうの もととするところ 
藉甚無竟 せきじんにして おわりなし 
学優登仕 がくにすぐれば とうしし 
摂職従政 しょくをとりて まつりごとに したがう 
存以甘棠 そんするに かんとうをもってし 
去而益詠 さりて ますますえいぜらる 
楽殊貴賎 がくは きせんをことにし 
礼別尊卑 れいは そんぴをわかつ 
上和下睦 かみやわらげば しもむつまじく 
夫唱婦随 おっととなえれば つましたがう 
外受傅訓 ほかには ふくんをうけ 
入奉母儀 いりては ぼぎをほうぜよ 
諸姑伯叔 しょこ はくしゅく あり 
猶子比児 ゆうしは じにひす 
孔懐兄弟 はなはだおもうは けいていなり 
同気連枝 きをおなじくし えだをつらぬ 
交友投分 ともに まじわるには ぶんにとうじ 
切磨箴規 せつま しんきせよ 
仁慈隠惻 じんじ いんそくは 
造次弗離 ぞうじにも はなれず 
節義廉退 せつぎ れんたいは 
顛沛匪虧 てんぱいにも かけざれ 
性静情逸 せいしづかなれば じょういつし 
心動神疲 こころうごけば しんつかる 
守真志満 しんをまもれば こころざしみち 
逐物意移 ものをおえば いうつる 
堅持雅操 がそうをけんじすれば 
好爵自縻 こうしゃく おのずからまとう 
都邑華夏 とゆうは かかに 
東西二京 とうざいに にけいあり 
背芒面洛 ぼうをはいにし らくに めんし 
浮渭拠 いにうかび けいによる 
宮殿磐鬱 きゅうでんは ばんうつとして 
楼観飛驚 ろうかんは ひきょうす 
図写禽獣 きんじゅうをとしゃし 
画綵仙霊 せんれいをがさいす 
丙舎傍啓 へいしゃ かたわらに ひらけ 
甲帳対楹 こうちょう えいに ついす 
肆筵設席 むしろをしき せきをもうけ 
鼓瑟吹笙 しつをこし しょうをふく 
升階訥陛 かいに のぼり へいにいる 
弁転疑星 べんてんして ほしかと うたがう 
右通広内 みぎは こうだいに つうじ 
左達承明 ひだりは しょうめいに たっす 
既集墳典 すでに ふんてんをあつめ 
亦聚群英 また ぐんえいをあつむ 
杜稾鍾隷 とこう しょうれい 
漆書壁経 しっしょ へきけいあり 
府羅将相 ふには しょうしょう つらなり 
路侠槐卿 みちは かいきょうに はさまれり 
戸封八県 こは はっけんに ほうぜられ 
家給千兵 いえには せんへいをきゅうせり 
高冠陪輦 かんむりをたかくして しんに ばいし 
駆轂振纓 こくをかり えいをふるう 
世禄侈富 せいろくは しふにして 
車駕肥軽 しゃがには ひけいあり 
策功茂実 こうをたつること もじつなれば 
勒碑刻銘 ひにろくし めいをこくす 
石番渓伊尹 はんけい いいんは 
佐時阿衡 ときを たすけ あこうとなる 
奄宅曲阜 おおいに きょくふに たくす 
微旦孰営 たんなかりせば たれか いとなまん 
桓公匡合 かんこうは きょうごうして 
済弱扶傾 よわきをすくい かたむけるをたすく 
綺廻漢恵 きは かんけいをかえし 
説感武丁 えつは ぶていをかんぜしむ 
俊乂密勿 しゅんがい みつふつして 
多士寔寧 たしにより まことに やすし 
晋楚更覇 しんそは こもごも はたり 
趙魏困横 ちょうぎ おうに くるしむ 
仮途滅豸虎 みちをかりて かくをほろぼし 
践土会盟 せんどに かいめいす 
何遵約法 かは やくほうに したがい 
韓弊煩刑 かんは はんけいにやぶれたり 
起翦頗牧 きせん はぼくは 
用軍最精 ぐんをもちうること もっとも くわし 
宣威沙漠 いをさばくに のべ 
馳誉丹青 ほまれをたんせいに はせたり 
九州禹跡 きゅうしゅうは うの せきなり 
百郡秦并 ひゃくぐんは しんの あわせたるなり 
岳宗恒岱 がくは こうたいをそうとし 
禅主云亭 ぜんは うんていをしゅとせり 
雁門紫塞 がんもん しさい 
奚隹田赤城 けいでん せきじょう 
昆池碣石 こんち けっせき 
鉅野洞庭 きょや どうてい 
曠遠綿貎 こうえん めんばくとして 
巌岫杳冥 がんしゅう ようめいたり 
治本於農 ちは のうをもととす 
務茲稼穡 この かしょくにつとむ 
俶載南畝 はじめて みなみのはたに ことをし 
我芸黍稷 われ しょしょくをうう 
税熟貢新 じゅくをぜいとし しんをおさめ 
勧賞黜陟 かんしょうして ちゅつちょくす 
孟軻敦素 もうかは そをあつくし 
史魚秉直 しぎょは ちょくをとる 
庶幾中庸 ちゅうようを こいねがい 
労謙勤勅 ろうけんして きんちょくにす 
聆音察理 おとをききて りをさっし 
鑑貌辯色 かたちをかんがみ いろをべんず 
貽厥嘉猷 その かゆうをのこし 
勉其祇植 そのしんしょくをつとむ 
省躬譏誡 みをきかいに かえりみ 
寵増抗極 ちょうま せば こう きわまる 
殆辱近恥 はずかしめに ちかく はじに ちかきときは 
林睾幸即 りんこうに つかんことをねがえ 
両疏見機 りょうそは きをみ 
解組誰逼 そをときては だれか せまらん 
索居閑処 さくきょ かんしょし 
沈黙寂寥 ちんもくして せきりょう たり 
求古尋論 いにしえをもとめて たずね ろんじ 
散慮逍遥 おもいをさんじて しょうようす 
欣奏累遣 よろこび あつまりて わずらいをやり 
感謝歓招 いたみをしゃして よろこび まねく 
渠荷的歴 きょかは てきれき として 
園莽抽条 えんもうは えだをぬきんず 
枇杷晩翠 びわは おそく みどりに 
梧桐早彫 ごとうは はやく しぼむ 
陳根委翳 ちんこん いえいあり 
落葉飄徭風 らくよう ひょうようす 
遊鶤独運 ゆうこんは ひとり めぐりて 
凌摩絳霄 こうしょうを りょうます 
耽読翫市 たんどくして いちに あそび 
寓目嚢箱 めをのうしょうに ぐうす 
易車酋攸畏 いきゆうは おそるるところ 
属耳垣牆 みみを えんしょうに ぞくす 
具膳餐飯 ぜんをそなえ めしをくらい 
適口充腸 くちに かない ちょうにみつ 
飽飫亨宰 あきては はうさいもをいとい 
飢厭糟糠 うえれば そうこうにもあく 
親戚故旧 しんせき こきゅう 
老少異糧 ろうしょう かてをことにす 
妾御績紡 しょうぎょは せきぼうし 
侍巾帷房 いぼうに じきんす 
糸丸扇員潔 がんせんは まるく きよく 
銀燭火韋煌 ぎんしょくは いこうたり 
昼眠夕寝 ひるは ねむり よるは いぬ 
藍笋象床 らんじゅんと ぞうしょうあり 
絃歌酒讌 げんか しゅえんし 
接杯挙觴 はいをむかえ しょうをあぐ 
矯手頓足 てをあげ あしをふみならし 
悦与且康 えつよして かつ やすし 
嫡後嗣続 てきこうは しぞくし 
祭祀蒸嘗 さいし じょうしょうす 
稽桑頁再拝 けいそう さいはいいし 
悚懼恐惶 しょうく きょうこうす 
牋牒簡要 せんちょうは かんようにして 
顧答審詳 ことうは しんしょうにす 
骸垢想浴 からだにあかつくときは よくをおもい 
執熱願涼 ねつをとりては りょうをねがう 
驢騾犢特 ろら とくとくは 
駭躍超驤 がいやく ちょうじょうす 
誅斬賊盗 ぞくとうをちゅうざんし 
捕獲叛亡 はんぼうをほかくす 
布射遼丸 ふのしゃ りょうのがん 
山禾尤琴阮繍 けいのこと げんのしょう 
恬筆倫紙 てんのふで りんのかみ 
鈞巧任釣 きんのこう じんのつり 
釈紛利俗 ふんをとき ぞくをりし 
並皆佳妙 ともに みな かみょうなり 
毛施淑姿 もうしは しゅくしあり 
工口歩頁妍咲 たくみに ひそみ あでやかに わらう 
年矢毎催 ねんし つねに せまり 
羲暉朗曜 ぎき ろうようたり 
旋王幾懸斡 せんき けんあつにして 
晦魄環照 かいはく かんしょうす 
指薪脩祐 たきぎをさして さいわいをおさむれば 
永綏吉劭 ながく やすらかに きっしょうなり 
矩歩引領 くほ いんれいして 
俯仰廊廟 ろうびょうに ふぎょうす 
束帯矜荘 そくたいは ぎんそうにして 
徘徊瞻眺 はいかい せんちょうす 
孤陋寡聞 ころう かぶんは 
愚蒙等誚 ぐもうと そしりをひとしくす 
謂語助者 ごじょというものは 
焉哉乎也 えんさいこやなり