94/9/27 ルクソール東岸 カルナック神殿 
大きさにに、ただ言葉を失うのみ。
ラムセスU世やアメンヘテプV世など、
多くのファラオが奉納したといわれる、すばらしい石の建築美。
驚かされるだけである。
アメン神に捧げられているというこの神殿は
2.4q四方といわれる広大な敷地。
各時代のファラオたちが、
自らの権力の強化と国家の繁栄を祈念して献納した、
様々な神像や神殿が集まっている。
入口を入ると、羊頭をしたスフィンクスが40体ほど参道に並んでいる。
参道を過ぎると、正面に第一塔門がある。
高さ43m、幅113mといわれる巨大な塔門。
その大きさと、作ったときの時代を考えると圧倒される。



中に入っていくと、大きな石像や石柱が目につく。
空からの日差しもかなり強いものがある。

更に進むと石の柱の大群に遭遇する。
大列柱室と呼ばれており、20mを超える大きな石の柱が、
「これでもか、これでもか」といっているようにそびいたつ。
圧倒される。
柱は134本ある。
柱の上を見ると、柱と柱の間には巨大な石が横たわっている。
どのようにしてこのようなものを作ったのか。
巨大な王の権力による、多くの労働力、犠牲となった人々。
長い歳月というものが容易に想像できる。
天井の石は地震等でかなりのものが落ちてしまった。
造った当時の姿は、今見る姿よりも、想像できないくらい、
素晴らしいものがあったような気がする。



どのようにして作られたのか?
ピラミッドに負けない必見に値する。
また各石には全てと言ってよいほど彫り物がなされている。
彫り物には当時は色彩があざやかに施されていたと想像できる。
紙面には言いつくせない素晴らしい感動を与えてくれた。
オベリクスも素晴らしかった。
よく倒れないで建ち続けているものだ。


石の柱の上部(柱頭)には、花開き、
あるいは閉じたパピルスや蓮(ロータス)の模様が刻まれている。
蓮の花はインドの仏陀の世界に通じるものがある。
エジプトとインド、中国、(おまけに日本)
なんとなく近いものがあるといった感じを受けた。

■エジプトの彫刻。
古代エジプト人にとって神は身近な存在だった。
あらゆるものに神がやどり、美術もその例外ではなかった。
芸術家はこの永遠の法則に奉仕するもの。
作品自体に個性が出ることはなく、むしろ人工的な存在だった。
彫刻の材料はアラバスター、石灰岩、赤色花崗岩、硬質の砂岩、木像もつくられた。
古代エジプトの彫像は、けっして西洋彫刻と同じではない。
一時的なものや、偶然的なものを捨て、本質的な、永遠的なものを表現する。



カルナック神殿だけでもゆっくり見れば少なくとも1日は必要。
神殿の周りは今でも採掘が進んでいる。
近い将来とんでもなく素晴らしいものが見つかるかも知れない。