「昭和20年5月24日未明、東京・代々木の練兵場」   
松永朔郎 76歳 水戸市在住。

前夜から
B29の空襲に追いかけ回され、
燃えるもののない
広いところを目指して逃げた。
たどり着いたのが練兵場。
逃げ疲れ
「どうにでもしやがれ」
と寝そべっていると
爆撃を終えたB29が、
悠然と低いところを飛んでいる。
逃げて来た方角を見れば、
町中が燃え、
その照り返しで、
夜空が明るくなっていた。
悠然と低いところを飛ぶB29の胴体を
逃げ疲れて寝そべった僕は
放心して眺めた。