「昭和20年5月24日、東京」   
松永朔郎 76歳 水戸市在住。

昭和20年5月24日未明、
東京大空襲で
下宿先の渋谷橋から
代々木練兵場方向に避難を始めた。
空は煙と炎で覆われ、
人々はさ迷いながら走り回った。
荷物を大八車に積んだ人、
背負った人、
子供の手を引いて駆ける人、
人人・・・。
その途中、
大学の門柱の陰に
ゴザを敷いて乳のみ子を抱え、
2人の子供を従え、
頭から布を被って
正座したお母さん。
はっとして立ち止まったが、
「御免なさい。」
走り去った。 
今も思う・・・。