「高空を飛ぶB29」
杉暉夫 67歳 東海村在住。
昭和20年春、
前年の秋から東京には何度も空襲があり、
その度に空襲警報のサイレンが鳴り半鐘が鳴り響いたが、
私達の上空には敵機は現れなかった。
春になり硫黄島の玉砕が伝えられた頃、
聞き慣れない爆音と共に
疎開先の栃木県烏山にもB29が現れた。
機体はケシ粒のように小さく、
尾を引く飛行機雲が印象的だった。
西から東へと飛び去った。
火の見櫓は紙飛行機の発射基地、
半鐘は石投げ遊びの標的であった。