会津戊辰七十年追悼歌 土井晩翠
1.雲上高き玉の声 受けて都の守護の職
誠尽くせる名君の 純忠遂に報はれず
ただ成敗に順逆の 名を伝へたる戊辰役
2.風雲荒れて日は昏く 三道ひとしく寄せ来る
天下の兵を引き受けて 時に利あらず鶴ケ城
衆寡敵せず陥りし 以来七十春と秋
3.その国難にあらはれし 会津の士風凛として
維新史上に花と咲く 中に少年白虎隊
飯盛山に千秋の 美名とどむるあとを身よ
4.鬼神も哭かむ壮烈の わざの数々黒髪の
長き子さへも修羅場に 犠牲となれるいくばくぞ
紅頬染めて流れし血 忍べ古塁の蔦紅葉
5.義勇と至誠武士道の 精華いみじく南欧の
空ににほへる今の時 見よ雲上に栄あり
汗青照す鶴ケ城 流芳絶えずあゝ会津