あゝ田部軍次 稲林敬一詩


佐野村で生まれ育った田部軍次 
相撲も釣も他人には負けん  
目に映る帆かけ舟は 幼い思い出 
新潟からのお舟


人さまの恩と情とは忘れずに 
強く生きよとさとしのことば  
両親の日頃の教え胸に秘め 
心身きたえ育った軍次


青年になって仕えた会津藩 
藩に生きるはわれらがつとめ  
親子として殿に仕える身となって 
朝夕はげみ心満つる

●戊辰の日敗れた原因は 
白河の裏切者の仕業がもとで  
流されて移って住んだ斗南の地 
炎と燃えたつ3年後


身の手柄求めてやまぬ大平八郎を 
血祭りにあぐる時こそ今ぞ  
裏切りの敵を切りすて自害して 
美事に果てたあゝ田部軍次


歴史春秋第39号より