知床旅情  森繁久弥 詩

知床の岬に はまなすの咲くころ 思い出しておくれ 俺たちの事を
飲んで騒いで 丘にのぼれば はるかクナシリに 白夜は明ける

旅の情けか 飲むほどにさまよい 浜に出てみれば 月は照る波の上
今宵こそ君を 抱きしめんと 岩かげに寄れば ピリカが笑う

別れの日は来た 知床の村にも 君は出てゆく 峠をこえて
忘れちゃいやだよ 気まぐれカラスさん 私を泣かすな 白いカモメよ 白いカモメよ


知床旅情は、森繁久弥さんと加藤登紀子さんが歌っていた。
バスガイドさんの話。
森繁さんが仕事で知床にきていた。
多分映画のロケできていた。
知床の人に大変にお世話になった。
お礼に知床半島の詩を作った。

知床の人は、無料で映画制作に協力した。
ロケの最後の頃。
森繁さんは、どうしても船が難破するシーンをとりたく
村長さんに協力を依頼した。
村長さんはなかなか首をたてに振ってくれなかった。
前年に船の難破事故があり多くの人が亡くなっていた。
森繁さんはどうしても難破のシーンを撮りたい。
何度も村長さんにお願いした。
村のひとが「森繁さんがそんなにお願いするのなら協力しよう」ということになった。
撮影当日は多くの漁船が映画の撮影に協力した。
森繁さんが知床を去る日が近づいた。
達筆で一気に書き上げたのが知床旅情の詩。
その後作曲。歌で知床半島が日本中に知られるようになった。